浅草には数多くの蕎麦やがありますが、観光地化されていない、本当に地元のお客さんだけがくるようなお蕎麦屋さんはけっこうレアだったりします。
そんな浅草にひっそりと長年佇む立ち食い蕎麦やの紹介です。
浅草で立ち食い蕎麦なら!「一八」の口コミ
もうずいぶんと長い間お世話になっていますが、最初に行ったのは私が中学生のころです。「うまい蕎麦屋があるから行こう」と同級生から誘われて一緒に自転車に乗って行った日を未だによく覚えています。
中学生なので、お蕎麦屋さんに行くほどのお金は持っていなくて当然立ち食い蕎麦屋さんです。ただ連れて行かれたお店はチェーン店ではなく、非常に昭和の雰囲気が残っていて、なんとなく落ち着くこじんまりとしすぎたお店でした。
場所的には昔のフランス座、現在の東洋館の正面から見える非常に細い道にあります。なので浅草では最もにぎやかな場所にある一等地だとは言えます。もちろん観光マップには載っていないお店なので、わざわざ地方や外国から来て食べにくるようなお店ではありません、きっと。
下町らしい濃い目の蕎麦
昼過ぎに同級生とお店の前で自転車を止めました。入口はなく、いきなりカウンターです。
そのカウンターも3,4人が横に並ぶといっぱいになってしまいます。そのため、前に長椅子が置いてありそこで座って食べることもできます。私は大好きな温かいきつねそばを注文しました。
ここではそれ以外を注文したことがありません。作っている場所も目の前で、全ての作るところを見れてしまいます。手慣れた年配の女性が数分で作ってくれて、当時はかけ放題だった天かすを入れてから長椅子に座って食べました。
関西の方からするとちょっと驚くほどの塩分かもしれません。それでも浅草ではしょっぱい味はそれほど珍しくはありません。
かつては肉体労働者が多く、塩分のある食事が好まれていた名残りだと思われます。お蕎麦も美味しくて、立ち食いチェーン店とはまったく深みといいますか、重みが違うような印象を受けてそれ以来よく足を運ぶようになりました。
食べるところが全部外なので、空の下で食べる蕎麦というのがまた風情があって美味しく感じるのだと思います。暑くもなく寒くもない気候の時などは本当に最高です。
ある時期からお店の方が若い男性に変わりました。もしかしたら息子さんなのかもしれません。味は変わることなく美味しいです。昼時には常連さんらしき方が集まるので、もし行かれるのならばその時間をちょっとずらした方がいいかもしれません。
ちなみにこの「一八」という屋号の読み方がずっと気になっていて、ある時に同級生が聞いたそうです。どうやら「かずや」ではなく「いっぱち」らしいです。でも本当かはわかりません。近くにはパチンコ屋やウインズもあり、勝負の街だからこその屋号だといえます。