浅草にはコーヒーを飲めるお店が多くあります。多くのお店が、いわゆる昔ながらの喫茶店!といった風貌で、非常に魅力があります。そんな昭和の喫茶店が多いなか、まるで浅草のど真中にいることを忘れるような、バーのようなコーヒー屋が1軒あるのです。
ネルドリップの美味しいコーヒーが飲める喫茶店なにわや
そのお店の名前は「なにわや」。数年前にふっと現れて、コーヒー好きな人や、喧噪を離れたい人にとってのオアシスのような存在になっているお店です。なにわという名前の通り、関西出身のマスターが営業されているお店。心無しか関西出身のお客さんも多いかもしれません。
場所は、浅草の新仲店通りと、雷門通りのちょうど中間くらいにあり、一見するとカフェとは思わないようなシックな見た目で、新しい小料理屋さんかな?と思うほど。中に入ると、昼でも夜でもほのかな明かりだけで営業しており、まさにオーセンティックなバーのような雰囲気。
ネルドリップコーヒーとは?
ここで頂けるのは、マスターが1杯1杯時間をかけていれてくれる、美味しいネルドリッップコーヒーです。
ネルドリップコーヒーとは、通常は紙で出来ているフィルターが、ネルという羊毛で出来たフィルターに変わったものと思って貰えれば良いと思います。ちなみに「ネルシャツ」のネルはこの羊毛のことです。このネルでいれたコーヒーというのは、紙でいれるのとどんな違いがあるのかというと、余計な雑味が取り除かれるので、変な苦みや酸味がなく、美味しい苦みや酸味が残り美味しい、とのこと。しかし、この「ネルドリップ」のネルは、その扱いが非常に大変。香りが移りやすかったり、管理が大変だったり、抽出に時間がかかったり、注意しないと味に差が出やすかったりと、とにかく手間のかかる子なのです。
丁寧で美味しいコーヒー
さて、お店に入ると香ばしいコーヒーの良い香りが。右手に靴を脱いで上がるタイプの座敷席、そして左手にはカウンター席。カウンターの中の背面にはコーヒーが並び、どこも清潔で手入れが整っています。メニューにはシンプルにコーヒーと軽食メニューが。バナナジュースなんてのもあります。
コーヒーはオリジナルのブレンドと、産地別で選べるコーヒーが。何度か伺いましたが最初に頼んだのはやはりお店の顔でもある「なにわやブレンド」。注文すると、細かな工程で丁寧にコーヒーを入れてくれます。
ここのお店は、コーヒーをの飲むのと同じくらい、コーヒーを作られているのを見るのが好きというお客さんも、もしかすると多いかもしれません。薄暗いカウンターの中で、手際よくカップを暖める、ネルを湿らす、温度を測る、本当に慎重にお湯を注ぐ…そんなコーヒーをいれる姿を見ていると、なんだかバーでカクテルでも作ってもらっているような錯覚に陥ります。…と、思ったら、なんでもマスターは以前バーテンダーをされていたとのこと。なるほど、その手つきにも合点がいきます。
こうして丁寧にいれてもらったコーヒーは、苦味と酸味がちょうどよく、しっかり味があるもののまろやか。香りも上品です。熱々の状態よりも、少し温度が下がるとまた違った表情になり、個人的にはより美味しく感じられました。
静かで落ち着く空間
お店の中は、コーヒーを楽しむ人、マスターとの会話を楽しむ人、本を読む人、携帯を見てる人など、様々。客層も若い方から酸いも甘いも経験したような方まで幅広いです。けれど多くの方が、この落ち着く空間と、美味しいコーヒーを求めて来ているようです。
誰にも教えたくないような気もするような、浅草にはあまり無いタイプの、素敵なお店でした。次は別のコーヒーを飲んでみようと思います。