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    彫塑を愛した朝倉文夫、日本の彫刻作品を台東区立朝倉彫塑館で。

    絵画や写真など、様々な芸術品を愛する人がいます。そして最近では立体感のある芸術品である彫刻に興味を示す人も多く、そうしたものを見るために美術館を訪れる人が増えています。もちろんモダンアートと呼ばれる近代美術は興味を引くもので、若者にも人気があります。それでも昔から活躍する芸術家の作品に対する人気は、衰えることを知りません。むしろ古くから存在する作品が見直されているのが現状で、こうしたものがクローズアップされています。

    目次

    彫塑・彫刻を愛した朝倉文夫に触れる、台東区立朝倉彫塑館

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    日本の有名な彫刻家と聞いて、朝倉文夫を思い受べる人は少なくなはずです。彼は1948(昭和23)年に初めて彫刻家として文化勲章を受章した人物です。1883(明治16)年に生まれた彼は彫刻家として本格的な活動を1907(明治40)年に東京美術学校(現東京藝術大学)の卒業と同時に開始します。その翌年には第2回文部省美術展覧会に出品した「闇」という作品が2等賞を受賞し、その名を世間に知らしめることとなります。1964(昭和39)年に81歳で亡くなるまで数々の作品を残してきた朝倉文夫は、間違いなく日本の有名彫刻家です。

    そんな朝倉文夫がアトリエとして使用していた建物が現在、台東区立朝倉彫塑館となって開館されており、多くの人がそこを訪れています。では台東区立朝倉彫塑館の歴史と、そこがどのような場所なのかについて見ていくことにしましょう。その前に「彫塑」とはどのようなもののことをいうのかについてご説明したいと思います。
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    朝倉“彫塑”館とは?彫刻とは何が違うの?

    厳密にいうと、朝倉文夫は彫刻家ではなく、彫塑家です。しかし彫塑という言葉は、私たちにはあまり馴染みのないものです。彫刻が木材などを彫り刻んで作品を作る技法であるのに対し、彫塑は石膏などの材料を使って作った作品をさらに削って形を整える製法のことをいいます。朝倉文夫はこの彫塑という言葉にこだわりを持っていましたが、それは世間に浸透しませんでした。現在では彫塑も彫刻の部類に含まれており、多くの人は彫塑作品を彫刻作品と呼んでいます。

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    アトリエ兼住居で会った台東区立朝倉彫塑館の歴史

    先にも少し触れたように、台東区立朝倉彫塑館は朝倉文夫のアトリエ、そして住居だった建造物です。彼は1907(明治40)年にここに移り住み、作品制作に力を入れるようになります。ここに越してきたとき彼は24歳で、アトリエ兼住居は小さな建物でした。その後何度か改築を行い、1935(昭和10)年に現在の建物が出来上がります。

    そしてこの建物自体も朝倉文夫自身が設計したもので、彫刻家ならではのこだわりが随所に見られます。その後彼はこの建物を「朝倉彫塑塾」と名乗り、弟子を育成する場として使用しました。彼が亡くなってから約3年後の1967(昭和42)年に、この自宅は朝倉彫塑館として公開され、1986(昭和61)年に台東区に移管されます。その後この場所は「台東区立朝倉彫塑館」という名前となり、現在に至ります。

    それから約15年後の2001(平成13)年、この台東区立朝倉彫塑館は国の有形文化財に登録されます。そして2008(平成20)年、敷地全体が「旧朝倉文夫氏庭園」として国の名勝に指定されました。その後2009(平成21)年から2013(平成25)年の4年間、保存修復、耐震補強工事を行い、台東区立朝倉彫塑館はより美しく、そして頑丈なものとなったのです。

    モダンな建築も必見!台東区立朝倉彫塑館

    近代的な美術館を思わせる台東区立朝倉彫塑館の外観は非常におしゃれなものです。ゲートを抜けてまず目にするのは、アトリエとして使用されていた建物です。天井が高く、大きな窓から明るい光が差し込む作りとなっているモダンなアトリエの入り口には、1910(明治43)年に作られた朝倉文夫の代表作の一つである「墓守」が飾られています。また1932(昭和7)年に作られた大隈重信像、1950(昭和25)年の作品であり、知・情・意を表した「三相」なども展示されています。また館内には朝倉文夫がアトリエとして使用していた時の写真が飾られており、滝廉太郎像の石膏原型や、現在は旧アトリエの屋上に配されている女性像などを見ることができます。
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    アトリエを抜けると書斎にたどり着きます。壁一面にびっしりと書籍がしまわれており、朝倉文夫が当時どのような暮らしをしていたのかがうかがい知れる場所の一つとなっています。書斎を抜けると応接間に入り、その後屋外に一度出ることになります。左手には美しい日本庭園が広がっており、ここも台東区朝倉彫塑館の見どころの一つとなっています。また二階に上がるとそこには二つの大きな部屋が存在します。一つは「素心の間」、そしてもう一つは「蘭の間」です。「素心の間」が和室であるのに対し、「蘭の間」はモダンな作りとなっています。朝倉文夫生前には東洋蘭の栽培室として使用されていたために、このようなデザインとなっています。また現在は「蘭の間」の方に猫の作品が展示されています。「素心の間」には作品展示がないものの、窓から解放的な景観を楽しむことができるために、ここは観光客に人気のあるスポットとなっています。

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    さらに三階に上ると「北テラス」と「朝陽の間」に到着します。「北テラス」には朝倉が蒐集した美術品などが展示されており、「朝陽の間」は要人を饗応する場として使用されていた場所であるために、台東区朝倉彫塑館の中でも最も格式の高い部屋として知られています。さらにアトリエ棟の屋上には屋上庭園があり、昭和初期の鉄筋コンクリート建築としては非常に珍しい場所として知られています。台東区立朝倉彫塑館には見学コースが設けられれていますが、悪天候の場合は屋上が閉鎖されることもあります。
    この台東区立朝倉彫塑館の所在は、東京都台東区谷中7-18-10で、開館時間は9:30から16:30となっています。最終入館は16:00となっており、これより後の入館は受け付けていません。また休館日は月曜日と木曜日で、祝日と重なる場合は翌日となります。入館料は大人が500円、小・中・高学生が250円となります。また最寄りの駅であるJR東日本線、京成電鉄線の「日暮里駅」西口から徒歩5分でたどり着くことができます。

    台東区立朝倉彫塑館周辺の観光地

    東京都の台東区にはたくさんのお寺があります。日暮里駅の西側だけでも10以上のお寺があるために、寺院巡りが趣味であるという人は、台東区立朝倉彫塑館を訪れる前後にそれらのお寺を見学することができます。
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    また数十メートル東に進むと、小説家として有名だった幸田露伴が住んでいた住居跡地にたどり着くことができます。ここは日暮里駅から台東区立朝倉彫塑館に向かう途中に位置していますので、まず幸田露伴旧宅跡をみてから、台東区立朝倉彫塑館を見学するのがお勧めです。
    また台東区立朝倉彫塑館から西に約100メートルほど進むと、岡倉天心記念公園にたどり着きます。

    この公園は、日本が誇る美術家である横山大観らと日本美術院を創設した岡倉天心の邸宅兼、日本美術院跡地に台東区が公園として1967(昭和42年)に開園した観光地です。広さは約700平方メートルと小さいものの、園内には岡倉天心を記念した六角堂があり、さらに堂内には平櫛田中作の天心坐像が安置されています。
    このように台東区立朝倉彫塑館の周りには様々な観光名所が存在しています。しかも徒歩圏内であるために、それらの場所を容易に訪れることができるのです。多くの芸術家が住んでいたこの地を訪れ、人々の思いに残る作品がどのような環境で作られたのかを感じ取ることは、素晴らしい経験となることでしょう。

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