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    着物の種類・和装小物の種類。シーンで着物を使い分けよう!

    着物といっても様々な種類のものが存在します。そのためふさわしい着物をふさわしいシーンで着用しなければなりません。ここでは代表的な着物の種類をまずご紹介し、その後身につけることのできる小物について述べたいと思います。

    kimono

    目次

    黒紋付:喪服利用が一般的な正礼装(第一礼装)

    kuromontsuki
    種類:最高礼装
    シーン:弔事、慶事(結婚式で親族の場合など)
    着用できる人:既婚未婚問わず

    黒紋付は着物の礼服です。そのデザインは地色が黒一色で染められており、かしこまった印象を与えています。またこの着物の特徴は五つ紋が背、両胸、そして両袖に入っていることです。ちなみに背紋(背中の紋)はご先祖を、抱き紋(胸の紋)は両親を、そして袖紋(両袖の紋)は兄弟や親戚を表しています。

    武家社会の礼装出会った黒紋付

    もともとこの着物は江戸時代まで武家社会で礼装として着用されていました。しかし明治政府が一般庶民の使用を認めたことで、世間に一気に広まったのです。黒紋付は最も格の高い正礼装であり、婚礼の席で媒酌人や親族によって着用され、美しく着飾った花嫁を引き立てるという習慣が広まりました。しかし現在では喪服としても用いられることが多くなっています。

    慶事と弔事では帯で必ず帯を変えて

    このように様々なシーンで活躍する黒紋付ですが、覚えておくべきルールも存在します。慶事、つまりおめでたい席で着用する場合は華やかで格式の高い袋帯と合わせ、弔事、つまり葬式などのおくやみの席で着用する場合は喪の意を表して黒の名古屋帯(黒共帯)を締めます。このルールを知らずに着用すると場違いな装いになってしまうために注意が必要です。ちなみに黒紋付は未既婚を問わない最高礼装ですので、どなたでも着用することができます。

    留袖の種類:既婚女性の正礼装

    留袖は既婚女性(未婚も)が着用する最も格の高い礼装です。この着物は江戸時代の女性が結婚後に振袖の長い袖を短くして縫い留めるという習慣から誕生したものでした。以前は柄に関わりなく振袖を短くしたものが留袖と呼ばれていましたが、後に江戸褄と呼ばれる下半身部にのみ模様の入った着物のことを留袖と呼ぶようになります。留袖は大きく分けると2種類に分類されます。1つは黒留袖、もう1つは色留袖です。

    黒留袖:結婚式などお祝いの席の着物

    kurotomesode
    種類:第一礼装
    シーン:慶事(結婚式で両親、親族の場合など)
    着用できる人:既婚女性
    黒留袖とは地色が黒色で、濱縮緬や丹後縮緬などの地模様のない縮緬が用いられています。多くの場合、五つ紋を入れて既婚女性の第一礼装として使われ、結婚式や披露宴における親族の既婚女性や仲人夫人が着用します。知人や友人の結婚式に着ていくことは、新郎新婦の両親と同じ位の着物を着てしまうことになるので失礼になる場合があります。注意しましょう。

    色留袖:お祝いや訪問に幅広く活躍

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    種類:第一礼装
    シーン:慶事(結婚式で両親以外の親族の場合など)
    着用できる人:既婚未婚問わず
    色留袖とは名前が示す通り地色が黒以外の留袖のことです。地模様が織り出された紋意匠縮緬や綸子、そして緞子や朱子地などが用いられることもあります。

    着物に付される紋の数は多いほど格が高いとされています。最上が五つ紋です。これは黒留袖と同格になります。そのため留袖を着用するときはシーンによって紋の数にも注意を払う必要があります。例えば結婚式にゲストで呼ばれている場合は五つ紋は格式が高すぎるのでマナー違反です。逆に黒留袖と同格だからと新郎新婦の母親が色留袖を着るのも普通はNGとなります。
    また前半部分でも触れたように、留袖は本来既婚女性が着用するものです。しかし最近では振袖のような派手な着物ではなく、落ち着いた着物を着用したいという未婚女性が礼装として着用することもあります。本来、留袖には丸帯が使用されていました。しかしよりシンプルな装いが受け入れられるようになり、現在では袋帯や格調高い名古屋帯が主流となっています。

    訪問着:様々なシーンで使える華やかな着物

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    種類:第二礼装(略礼装)
    シーン:結婚式のゲスト、お祝い事、入学式など式典、お茶会など
    着用できる人:既婚未婚問わず
    この着物は第二礼装(略礼装)として着用されます。

    訪問着の特徴

    当初は背中と両袖の3か所に家紋を入れる慣例でしたが、今では紋を入れないものも多く見られます。訪問着の特徴は何といっても絵羽模様が施されていることです。絵羽模様とは肩から胸、そして袖から裾までひと続きになっている模様のことです。製造方法はまず生地を断裁して仮縫いし、そこに絵を描いた後に仮縫いを解き、染色を行っていきます。その後、本縫いされて訪問着となるわけです。

    訪問着を着るシーン

    着物自体が大きなキャンパスのようになっており、縫い目に関係なくダイナミックな絵柄が付されているために、非常に華やかです。それゆえに親族以外の結婚式、茶事、そして大きなパーティーなどに着用されることが多々あります。ちなみに訪問着は既婚者であっても独身者であっても着用できます。

    付け下げ:利用シーンが豊富なシンプルな着物

    種類:第二礼装(略礼装)
    シーン:訪問着と同様(よりかしこまった場所では訪問着を)
    着用できる人:既婚未婚問わず
    訪問着と同じく第二礼装(略礼装)の位置づけにあるのがこの付け下げです。格式は訪問着の方が上なので、かしこまった場所は訪問着を選びましょう。

    付け下げの特徴

    訪問着にはダイナミックな模様が施されているのに対し、付け下げにはそのような模様は存在しません。その理由は製造工程にあります。付け下げは模様のついた反物を縫い合わせて作られます。そのため着物になったときには訪問着のように縫い目上に模様が存在することはありません。また施されている模様は全て上向きになっています。
    仮縫いをして模様を描き、その後着物を染めてから本縫いするという過程で製造される訪問着ほど複雑ではなく、さらに反物の状態で店に保管できるとあり、付け下げの価格は訪問着よりも安いのが一般的です。

    付け下げを着るシーン

    このような理由により、この着物は訪問着ほどかしこまった印象を与えるものではありません。それゆえにパーティーなどの晴れやかな場所にも、落ち着いた会にも着ていくことができます。付け下げをいわゆるよそゆきの着物として着用する場合、シンプルな柄の付け下げに名古屋帯や染め帯を合わせます。また第二礼装とする場合は柄が多い付け下げに袋帯や格の高い柄の名古屋帯を合わせるのが一般的です。

    色無地:帯により使い分ける無地の着物

    種類:略礼装・準礼装(紋付の場合)/おしゃれ着(外出用)(紋が無い)
    シーン:普段の外出やセミフォーマルな場所。紋付は慶事、弔事用でも利用可能。
    着用できる人:既婚未婚問わず

    色無地の特徴

    柄のない無地の洋服同様、色無地も使い勝手の良いアイテムです。

    色無地を着るシーン

    たとえば家紋を入れれば訪問着や付け下げと同様に礼装として着用することができます。またそのままの状態で着用する場合は略礼装や普段着となり、さらには黒の帯を締めることで略式の喪服とすることも可能です。加えて薄いグレー地の九寸帯などを合わせることで、法事の際にも着用することができます。

    色無地は派手な服装を避けるべきであるとされる茶道でも着用される着物です。またかしこまった印象を与える礼装には縮緬や綸子が用いられるのが一般的です。そして色無地の中にはこれらの素材ではなく、紬で作られたものもあります。紬はどちらかというとラフな印象を与えるものであるために、この素材で作られた色無地は礼装として着用しないほうが無難です。紬の色無地はお洒落な普段着としての位置づけであると考えたほうがよいでしょう。

    小紋:細かい模様の普段使いの着物

    Komon

    名前が示すように、小紋には全体に細かい模様が入っています。

    小紋の特徴と着るシーン

    komon2
    訪問着や付け下げは模様が上向きになるようにデザインされていますが、小紋の模様は上下関係なく施されています。このようなデザインは礼装、そして正装としてはふさわしくないとされており、そのため小紋はおしゃれ着の代表格として着用されています。気軽なおしゃれ着として多彩な着こなしが楽しめるために、人気のある着物の1つです。現在では本来の小紋のように小さな模様ではなくても、上下方向関係なく模様が入っている着物を小紋と呼ぶようになっています。小紋には様々な染め方がありますが、その中でも主流となっているのが江戸小紋、京小紋、そして加賀小紋がです。

    江戸小紋とは

    江戸小紋は江戸時代に大名が着用した裃に付けられた模様がその始まりです。その後、大名たちは模様付けの豪華さを張り合うようになり、江戸幕府から規制を加えられます。そのため模様を細かくし、繊細な柄でおしゃれを競うようになります。この模様が後に江戸小紋と呼ばれるようになります。ちなみに江戸小紋は高度な染色技術を要するために、小紋の中でも高価な着物でした。しかし後に庶民が小紋を真似するようになり、身近なものを模様にしておしゃれを楽しむようになります。このようなものは「いわれ小紋」と呼ばれています。

    京小紋とは

    京小紋は京都で作られたもので、派手な柄いきと型染めを融合させたものです。特徴は江戸小紋に比べると多色であり、尚且つ生地の種類も様々であることです。また柄は江戸小紋よりも大きく、華やかさがあります。

    加賀小紋とは

    加賀小紋は京小紋の影響を受けて作られたものです。色使いに加賀友禅の技法が取り入れられているのが特徴です。

    紬:風合いのあるカジュアルな着物

    tumugi
    紬糸とは質の劣る蚕の繭から作られた糸です。中には綿から作られたものもあります。そしてこれらの糸を平織りしたものが紬生地で、この生地で作られた着物が紬です。繭の紬糸で作られた紬には鈍い光沢が生まれ、表面に小さな凹凸ができます。この独特な風合いが紬の特徴です。

    tsumugi
    紬生地はしっかりしているために丈夫であり、織るのに手間がかかることもあって高額なものもあります。普段着としての位置づけであり、袋帯や名古屋帯、そして半幅帯を締めて着用されます。しかし現在では略正装として着用されることもあります。

    着物に必要な小物

    次に着物に合わせる小物について見ていきましょう。

    襦袢:着物の下に着用する肌着

    襦袢は着物用の下着のことです。本来、下着とは見えないように着用するものですが、襦袢の場合は衿元が見えるように着用します。この点で襦袢は例外的な下着と言えます。襦袢にはいくつかの種類があります。代表的なものは肌襦袢、長襦袢、そして半襦袢です。

    肌襦袢

    長襦袢や半襦袢の下に着用する肌着で、肌に直接触れるものです。そのため天然素材である綿や肌に優しいガーゼなどが用いられます。用途は汗を吸収して着心地を良くしたり、着物が汚れてしまうのを防ぐというものです。そのためメインである着物の見栄えに影響することがないよう、袖や衿は細くなっています。男性の幅襦袢の多くは衿が黒、紺、灰色、そして茶色であり、女性の場合は赤色や薄紅色、そして礼服用の白が用いられます。最近ではこの肌襦袢の代わりにキャミソールを着用する女性も増えています。

    長襦袢:半襦袢より一般的な中間着

    着物に似ている形をしており、肌襦袢と長着の間に着用されるものです。使用される主な素材は木綿やモスリン、ウール、そして絹などですが、夏用のものには麻が用いられることもあります。竪衿がついた関西仕立て、そして通し衿の関東仕立ての2種類が存在します。現在、一般的に着用されるのは半襦袢ではなく、この長襦袢です。

    半襦袢:お手入れが楽な中間着

    長襦袢に比べると丈が短く、洗濯がしやすいというメリットがあります。また襦袢の見せどころである衿のアレンジが可能であり、江戸時代前期頃までは半襦袢が主流でした。この半襦袢だけを着用すると着物の下半身部分は素肌に触れることになるために、裾除けやステテコと一緒に着用しなければなりません。ちなみに半襦袢と同じ生地で作られた裾除けとセットになっているものも販売されています。

    帯:

    帯は着物に欠かすことのできないアイテムです。そして種類も豊富であり、シーンによって使い分ける必要があります。代表的な帯として知られているのは袋帯、名古屋帯、そして半幅帯です。これらの帯は長さ、そして幅が異なります。

    袋帯

    留袖、訪問着、そして振袖など、礼装用の着物に合わせます。華やかな席を美しく飾るための飾り結びができるよう、長めに作られています。

    名古屋帯

    袋帯よりも幅が若干狭く、長さも50センチほど短い帯です。普段着として着用される着物に合わせるのが主で、小紋や紬などに使用されます。普段着用ということで軽く、簡単に結ぶことができます。

    半幅帯

    3つの帯の中で一番細く、短いのが半幅帯です。普段着、そして浴衣にも使用でき、尚且つ季節に関係なく締めることができます。そのため活躍の場が多く、非常に重宝される帯でもあります。

    帯留め

    帯留めとは女性が着物を着用する際に用いられるもので、飾り物の1つです。帯締めに通すようにして使用し、素材は様々で、多くの場合工芸品などが使用されます。ちなみに翡翠素材、そして水晶素材は夏用、珊瑚素材は冬用とされることがあります。また帯留めは飾りであり、着物を華やかに見せる目的で使用されることから、喪服を着用する際には使用しません。しかしそれ以外の明確なルールはほとんど存在せず、シーンに合わせてふさわしいものをチョイスすることができます。

    足袋:着物用の靴下

    着物を着用する際の靴下の役割を果たすのが足袋です。当初は皮製の足袋が主流でしたが、布製のものが作られるようになってからは使用されなくなりました。現在でも皮製の足袋はごくまれにしか見ることはありません。一般的な足袋は木綿の布でできており、小鉤という留め具で固定するようになっています。足袋にはいくつかの種類がありますが、主なものは白足袋、黒足袋、そして色足袋です。
    白足袋はかしこまった場に多く用いられます。しかし白足袋に関する決まりはなく、平服(普段着)から礼服用まで様々なシーンで使用することができます。次に黒足袋ですが、これは男性の平服用です。そしてカラフルな色足袋は白足袋、そして黒足袋以外のもののことを言い、女性が使用します。

    下駄:和服に合わせる靴

    下駄は着物を着用する際の履物です。足を乗せる部分は木製であり、裏側には接地用の突起部があります。また鼻緒と呼ばれる紐を足の親指と人差し指で挟むようにして履きます。接地用の突起部を「歯」、足の指をつっかける紐を「鼻緒」、そして鼻緒を通す孔を「眼」と呼びます。このように下駄は顔を見立てて作られているというのは興味深いことです。
    下駄は履いたときにかかとが1センチほど出るサイズのものを使用するのが一般的です。このサイズの下駄は着物を一番美しく見せる姿勢を保たせてくれます。また最近では歯のない下駄も販売されています。このタイプのものを履くときにもかかとが1センチ出るサイズのものをチョイスするなら、美しい姿勢を保つことができることに加えて着物を踏まずに歩けるというメリットが生じます。
    また歯のついた下駄は歩くたびに音をたてます。この音は多くの人によって好まれますが、状況によっては騒音と受け止められてしまうこともあります。この点を考慮し、歯にゴム製のクッションなどを取り付けた下駄も販売されています。

    草履:カジュアルにも洗練にも履ける

    下駄同様に鼻緒を有しているものの、歯がなく平らな形をしているのが草履です。使用されている素材は畳に用いられるイグサ、革、そしてビニールなどが一般的です。四角い形をしており、厚みのない台のに鼻緒を据えた草履は雪駄と言います。この雪駄が軽装履であるのに対し、草履は改まった履物の1つです。
    下駄同様、草履も履いたときにかかとが1センチほど出るサイズが好ましいとされています。また歩くときに大きな音を立てることはありません。そのため下駄の代わりに着物に草履を合わせるという人もたくさんいます。
    これまでビニール製の草履はカジュアルな印象を与えるものが主でしたが、最近ではかしこまった印象を与えるデザインのものも増えています。このようなものは軽くて履きやすく、足にかかる負担を軽減してくれるために、着物を着用して長時間歩くという人にお勧めです。

    かんざし

    着物を着用した女性が髪を飾るのに用いるかんざしには様々な種類のものがあります。チリカンやビラカンのように派手なかんざしもありますが、最もポピュラーなのは玉かんざしです。1本の串のような細い棒に玉が1つ付いているものを玉かんざしと呼び、デザインそのものはシンプルです。しかし玉にはサンゴ、メノウ、そしてヒスイなど豪華な素材が使用されることもあり、シーンい合わせてふさわしいものをチョイスすることができます。もちろんリーズナブルな素材のものも多々あり、安価での購入も可能です。
    また棒の素材に関してですが、木製のものは軽くて摩擦があり、髪の毛をまとめるのに適しています。それに対して金属製のものは滑りやすいものの強度があり、非常に丈夫です。またプラスチック製のものは価格がリーズナブルであるために、気軽に購入できます。これらの点を考慮し、どの素材のものを購入するかを決定できます。

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