雷門に仲見世、宝蔵門を通って本堂へ・・・と、連日引きも切らぬ盛況ぶりの浅草寺。そのにぎやかな一面の一方、普段は一般客の出入りがなく、俗世間から一線を画した静寂とともに、数々の文化財と美しい庭園が保護されているのをご存じでしょうか。
それが、仲見世の西、五重塔の南に位置する、伝法院とよばれる一画です。浅草寺にある14ものお堂の1つである伝法院の一般公開期間や、見所を探っていきましょう。
伝法院はいつ入れる!?一般公開期間や見所を知り庭園散策を楽しもう!
この伝法院は、明治時代までは一般客の立ち入りは一切許されておらず、浅草寺の僧侶や皇室の面々、将軍のみがその美しさに触れることができる秘園でした。
2011年に伝法院庭園は国の重要文化財として指定され、同年秋に庭園の一般公開が催されました。そして現在は、毎年三月中旬から五月中旬をめどに、年1回定期的に一般公開期間が設けられるまでに機会は増えたのです。拝観料は¥300。
大池泉を囲む庭園と客殿が伝法院の見所
見所は何と言ってもに広がる大池泉とそれを囲む庭園。この池の周りに小道があり、庭園風景を歩き楽しむことができます。
伝法院の客殿もまた外せないポイントの1つ。
祀られているのは阿弥陀三尊像が安置し奉られており、両サイドには代々の徳川家将軍、また代々の浅草寺のご住職が祀られているという、浅草寺の中でも非常に重要なスポットなのです。
伝法院の口コミ、観覧方法や感想は?
実際に伝法院庭園の観覧をされたお客様の口コミによって、ちょっとその風景を想像してみましょう。
「観覧の際の道順は、五重の塔からスタートして、池に架かる橋を渡り、池と伝法院に挟まれた道をゆき、池をぐるりとまわって天祐庵の横を通り、再び五重の塔へと到着して終了というものです。
最初の石橋を渡っていると、その先には早くも伝法院の建築と枝垂桜の姿が見えますが、はやる気持ちを抑えて、石橋の左側に目をやってみましょう。うっそうとした木のしげみの中、池に浮かぶ浮き島は経ヶ島といい、お経を石の一つ一つに彫り、浮き島に埋めてあるといいます。
その神聖なたたずまいにしばし浸ることで、厳かな気持ちに心が清められると思います。
そして、枝垂れ桜がベールのようにかかる社殿。美しい桜のほかにも、まっすぐ屹立する木、這うように生える灌木、そして地面を明るい色で染める苔・・・と、どの目線に立っても植生が目に入る設計は、まさに多くの人で喜びを分かち合う浅草の姿とも重なるものです。その懐の深さからか、観覧客も穏やかな笑顔で、記念撮影などを楽しんでいますね。
さらに歩を進めて伝法院の反対側にあたる、池の北岸を歩いてみると、庭園の緑は密度を増し、黒い墨が入ったように年季の入った石灯篭に、苔むした岩々と、自然の険峻な一面を垣間見せ、池の水面も、先ほどの伝法院からの眺めが里の水だとしたら、こちらは山の水といったところ。同じ池に二つの表情をもたせるという作庭者の見事な演出となっています。」
・・・いかがでしょう。3月から5月にかけて、浅草観光を楽しまれるご予定の方にとっては、楽しみが一つ増えたといえるのではないでしょうか。