浅草の観音裏を越えた場所にある吉原と言えば、日本でも有数の花街のひとつでした。
その歴史は江戸時代までさかのぼり、もともとは人形町にあった吉原が、浅草の裏手に場所を移したのが始まりです。(→浅草の吉原の歴史を学ぶ)
浅草に花魁を見に行こう!江戸吉原おいらん道中へ行ってきました
遊女の格式は非常に高く、お茶やお花、和歌などの基本的な教養を身につけている女性たち。そしてその中でも、位の高い遊女を表すのが「花魁」です。京都や大阪も含めた花街では、位の高い遊女を「太夫」と言っていましたが、吉原ではこの「花魁」が主流であり、そのうち他の花街もこの「花魁」が一般的になったのだそう。
おいらん道中のスケジュールや日時など
そんな今は見ることが出来ない昔の文化「花魁」ですが、年に一度だけ、浅草の裏手で復活をする日があるのです。それが、「一葉桜まつり」で開催される「江戸吉原おいらん道中」。毎年4月の2週にある土曜日に開催されてます。
この日に行なう理由がこちらの桜。普通の桜はもう散ってしまったあとですが、この「八重桜」は毎年このあたりで満開になるのです。
場所は、浅草の千束商店街の中ほど。浅草4丁目の交差点付近で行なわれます。
2015年のスケジュールを見ると、時間は朝の10時からオープニングがあり、午前中は子どもたちのパレード、お昼には街角ステージショー。花魁道中は午後の1:00と14:45から開催されました。
今回は14時45分の方を見に行ったのですが、とにかく人、人、人。花魁道中前にステージで何かやっていたのですが、カメラを上げてやっと写真が撮れるといった状態です。
ステージでの催しごとの後に花魁の撮影会が行なわれ、花魁道中へ続きます。撮影会は人が多すぎたので諦め、花魁道中を撮影するためスタンバイしました。
花魁道中のおすすめ撮影ポイント
花魁道中のルートは大体こんな感じです。地図の一番右手にステージがあります。
そして一番込み合うのもやはり右手のステージ前。
ここでばっちり花魁撮影会も参加したい!という場合は場所取りをするか、小さな脚立などを持ってきて参加しましょう。
おすすめの場所は、目的によって変ります。ステージも見たい、太鼓も生音で聞きたい、花魁を早く見たい!という方はステージ寄りに場所をとりましょう。ただし、混雑は免れません。
逆にとにかくゆっくり見たい、ゆとりをもって撮影を楽しみたい、という方は、、千束商店街を越えた終着地側にいると良いでしょう。こちらは人もまばらで場所取りの必要がないくらいゆったりと楽しめます。
花魁の列はゆっくりと進んでいきますので、見るまでに時間はかかりますが、飲み物とおつまみでも買って待ってれば時間もわすれてしまいます。ちなみにこのあたりのおつまみなら、こちらのお肉屋さん「竹松鶏肉店」のお惣菜がおすすめです。
花魁道中の見所や豆知識
浅草のおいらん道中。ただ見るよりもやはり知識をもって見たほうが楽しいというもの。2015年の吉原おいらん道中と一緒に、豆知識も紹介していきます。
花魁のパレードでは、最初から花魁が歩くわけではありません。
まず先頭にくるのは「吉原の狐舞ひ」を今に伝える「吉原狐社中」。
お狐様が信仰されていた吉原。通常は獅子舞が舞う12月31日や元旦に、ここでは狐が舞っていたのだそう。その文化を今に伝えるための社中である吉原狐社中です。
動きを見ていると、伝統芸能というよりもパフォーマーとかダンサーと言った方がしっくり来るほど、動きがコミカルで尚且つ美しいです。
そして「吉原狐社中」を盛り上げるのがお囃子のお二人。まだ高校生くらい?というような女子が2人で綺麗なお囃子を奏でます。もちろんお顔には狐の面です。
そして続くのが、男衆の面々。
シャン、シャンと金属製の棒を鳴らしながら歩くのが「金棒引き・露払い」と云われる方々です。花魁を先導する役割でありますが、もともとは夜の見回り、安全確認をしていた人だそう。
さらにその後続くのが、手古舞(てこまい)と呼ばれる方々です。
明らかに女性なのですが、なんとなく男っぽい身なりにはちゃんと理由があります。
江戸時代に、山車(だし)を先導する芸者というのがおり、それが男装をしていたことがスタートなのだそう。手古舞も、男衆同様に金属の棒を持っています。
さらにその後、花魁の名前が入った提灯も持ちあるくのが、「提灯持ち」。
この提灯自体、安土桃山時代というなかなか古い歴史があり、庶民ではなく武士家系や貴族などの富裕層の持ち物でした。ここに入っている名前は「象潟」。
この後に登場する花魁の名前が「象潟」ということです。「ぞうがた」ではなく「さきかた」と読みます。
花魁はもう目と鼻の先の状態ですが、その前にまだ忘れてはいけない「禿(かむろ)」がいます。
花魁よりも若々しく、可愛らしいイメージの2人です。この「禿(かむろ)」は、花魁見習いである少女たち。花魁の見習いとしてそばに付き、勉強中の身です。手に持っているものはたばことキセル。あの細長いキセルをくわえ、「フー」っと煙をはくのは、実際の花魁の姿なのです。
そして、ようやく登場するのが花魁です。
行列の最後に登場する花魁。美しさだけでなく、教養や知性、さらに30キロもの衣装や装飾を身にまとう体力も必要としたという花魁。半端ありません。
円を書く様な歩き方は外八文字といわれ、会得するのに三年かかるといわれているほど。
動きはもちろん、しぐさや表情などもとても美しいですよね。
さらに、花魁が手を置く肩を貸す男性は「肩貸しの男衆」。また、傘を持つ男性は「傘持の男衆」と、それぞれ重要な役割を担っています。
長い行列もこれで終わり…ではなく、最後に続くのが「振袖新造」。先ほど登場したかむろの成長した姿です。もうここまでくれば花魁の座は約束されているようなもの。立派な花魁一歩点前の存在です。
ただ見るだけよりも、やはりこういった予備知識をもって見るほうが存分に楽しめますね。
最後に、なぜ本家吉原ではなくほぼ浅草寄りの場所で行なうのかというと、集客のしやすさ…とかではなく、吉原警察署が開催にNGを出しているからなのだとか。笑 地元のおっちゃんは「吉原神社付近で開催するべき」と断言されておりました。
2015年の江戸吉原おいらん道中は終わってしまいましたが、そんな豆知識も踏まえて次回の開催を楽しみに待ちましょう。浅草のイベントならこちらもどうぞ!→浅草で開催されるイベント一覧。